時代設定は、産業革命前後の、18世紀ぐらいと思われるヨーロッパ。
(たぶん、ヴィクトリア朝時代のイギリスではないかと思われる)
主人公、
エドワード・ローベルは男爵ローベル家の嫡男であり、いずれ爵位を継ぐ立場にある、いわゆる貴族階級の人間。
そしてヘタレである。
使用人に、理想の女の子は?と聞かれて、
やっべ超かわいい。
ヘタレ貴族のお坊ちゃんという、心は優しく、体力は無く、という王道をブレることなく成長。
ぬいぐるみ作りが趣味でケーキが大好き。そこらへんの夢見る乙女に負けないぐらいの夢見るオトメンに成長してしまった坊ちゃんの悩み、それは女の子にもてないこと。
「筋金入りの箱入り息子だからしょうがないですよ」と使用人に笑顔で(しかも面と向かって)慰められるほどのエドワード。そんな坊ちゃんに社交界でのスキルを期待するという方が無理なのか、初めてのダンスパーティでは11人の女の子の足を踏んだ挙句、泣きながら帰るという始末に。
唯一気に入られたのが、20代後半のSっ気のある少年趣味の女、という事実。泣くな坊ちゃん。坊ちゃん泣くな。
そんなエドワードを見て心配した使用人一同が、用意した「女の子」 。
女の子と接する機会を増やすことで、エドワードのモテスキルをアップさせようという魂胆らしいが…。
すげえ!エロゲルートだ!
「孤児院で奴隷同然に扱われていた娘を裏ルートで買い取った」と笑顔で話す執事のアーサー。ひゅー、やっぱ金持ちは違うんやな。こんなんエロゲだけかと思ってたよ!夢が広がるな!
と思うのも束の間、エドワード坊ちゃんのヘタレっぷりではそんなルートに行けるはずもなく…。
「真珠」と名づけた女の子の、哀れな生い立ちと境遇に泣いてしまう坊ちゃん。
坊ちゃんマジ心がセンシティブ。どっちかっていうと坊ちゃんの方がやべえ。
後はもう、お前ら姉妹か!という感じのキャッキャウフフデイズ。
お前ら姉妹か! モテスキルは上がらないが、子守スキルは上がったと思われる坊ちゃん。なにこの可愛いの。
平和な日常は続くと思われたが・・・。
そんな様子を見た執事アーサーは、
「ローベル家の次期当主ともあろうものが、あのような娘と本気で恋愛でも?」と怖い顔モード。
真珠を捨てろ、というアーサーの言葉に愕然とする坊ちゃん。
アーサーの言葉を偶然耳にしていまい、ショックでその場から逃げ出してしまう真珠。
慌てて追いかけるエドワードは、そこで暴漢(?)から真珠をかばい、
「真珠は僕が守る!」と。
「次期当主にあるまじき行為でも…」と決意するエドワードが出した結論とは・・・。
おお! 筋金入りの箱入り息子が、自分で決断しおったわい。
真珠と結婚する、どんな困難があろうとも真珠を守り抜く!
と誓うエドワード。 なんか男前に見えるぜ坊ちゃん。
その今までになかった凛々しい顔つきに、アーサーも認めざるを得ないのか、微笑んで祝福を送る。
の直後、以前話した「20代後半のSっ気のある少年趣味の女」の話をし始めるアーサー。
お見合いドッキリ…ッ!
それはつまり、
使用人一同と
「20代後半のSっ気のある少年趣味の女」がエドワードに仕掛けた罠ッ!!
なるほど…。
つまり
「真珠」は実は
「20代後半のSっ気のある少年趣味の女」で、
「孤児院から売られた」とかのかわいそうな境遇もすべて
演技で、
坊ちゃんはそれを知らずに、なんかまんまと引っかかったわけで。
鬼だ!ここの使用人、全員鬼だ! なんていい笑顔なんだ…。すげえ…、この屋敷の使用人、マジで坊ちゃんをおもちゃにしてやがる…。なんて楽しそうなんだ…。
あまりの出来事に腰を抜かす坊ちゃん
の元へ、歩み寄ってくる
元・真珠だった誰か。
そんな感じで、「20代後半のSっ気のある少年趣味の女」、こと伯爵令嬢
ダイアナ=キャデリッシュ(25)にまんまと捕まった坊ちゃん。
坊ちゃんがんばれ、超がんばれ。
という感じで、ここまでが第1話。
実は、「真珠」の容貌が結構薄幸な少女的イメージが強かったもんで、第1話の最後、正体が明かされるまで、普通に「孤児院出身のかわいそうな女の子」と読んでいたらrabitbikeさん…。マジ騙されたですよ…。
単行本第1巻では4話まで収録。
その後のキャデリッシュ嬢のドSっぷりは素晴らしく、思わずキャインキャイン!と鳴きながら尻尾を股の間に挟んで服従したくなるほど。(どんだけだ)
その苛烈すぎる愛の対象となる、坊ちゃんのヘタレっぷりと小動物的おびえっぷりはまさに猫にいたぶられるネズミみたいですよねー。愛が愛をー。
ただ、読んでて面白く笑えてしまうのは、ダイアナもエドワードも、人格的には色々と問題があるが(笑)、それでも相手のことを思いやる気持ちを持って、まっすぐに交際してる感じが健全だからか。
基本的に、ダイアナさんの方がエドワードの方にベタ惚れなわけだが、なんだかんだ言ってエドワードもダイアナに魅かれはじめているし。
後半では、新キャラも登場したりして、ますます燃え上がるギャグの嵐(恋の嵐ではない)。
ドSお嬢様にいびり倒されたい欲望を持つ男性諸氏にもおすすめ。
またはコメディとしてかなり面白いので、普通の男性諸氏にもおすすめです。