スポンサーサイト
新しい記事を書く事で広告が消せます。
「デカスロン」、「度胸星」、そして「へうげもの」、と
我々の心をつかんで離さない作品ばかり発表する山田芳裕先生による商業誌デビュー作がこの
「大正野郎」でございます。
大正ロマンを愛し、レトロスタイルを貫く大学生・平が
恋や金欠に悩みつつ、ひたすら我が道を貫く物語。
なんですが、もう、山田先生の趣味爆発!
な感じで、ノリノリで書いているのが分かります。
しかしこれ読むと、現在の「へうげもの」に続く山田作品の源流を見たような気分にもなり、「へうげもの」が描かれるのはある意味、必然だったのだなあ
平
大正ロマンと芥川龍之介をこよなく愛し、下宿先の由貴ちゃんに片思い中。
変わり者扱いされても何処吹く風で、ひたすら我が道を行く
由貴ちゃん
平が下宿している家の一人娘。短大を卒業し現在は家事手伝い。優しく、いつも笑顔のいい娘ですよー。
佐山
プレイボーイで口は悪いが、平の恋愛相談にのってやったり、平が風邪 をひいたときはユンケルを差し入れてやるなど、結構いいやつである。
平とは真逆で、流行に敏感でオシャレ。(しかしこいつの趣味を見てると80年代のトレンドが良く分かる)
おじさん・おばさん
フルムーンの際、夫婦で温泉旅行に行ったりと、夫婦仲が良い
五十嵐
平のことを”趣味がいい”、と思っているが、彼女の好きなバンドが「The Jam」や「The Who」であることを考えると、平のファッションをモッズと勘違いしているようでもある。
ゆるやかな日常が描かれてますが、これが本当におもしろい。
バイトしたり
掃除したり
銭湯行ったり
縁側で将棋したり
自転車買ったり
プレゼントを買うために銀座に行ったり
情熱の全てを尽くしたり
相談したり
なんともない、見落としがちな日常が描かれてますが、そこには豊かな感情が溢れています。
何よりも、作者の彼らを見る目線が優しく、細やかな気持ちの動きが伝わってくるのがいいところです。
よく、食事シーンが出てきますが、これが本当に楽しそうでいい。
脇を固める登場人物も魅力的ですが、やはり主人公の平がいいキャラしてますわ~
流行ではないし、変わり者扱いされてますが、「自分の好きなもの・自分にとって大切なもの」をはっきりと分かっているから、読者がストレスを感じることがないんですよ
むしろ、金欠やら恋やらで七転八倒する様も面白く、「平がんばれ」とか思っちゃう
失敗もするけれど、芯はぶれない。一本気の男なんです。
平はいいやつですよ、本当に。
そして周りの佐山・由貴ちゃん・おじさん・おばさん・五十嵐くんもいいやつばかり。
あー、こいつらと縁側で酒とか酌み交わしたいですね、ホントに。
そして終盤、物語は大団円のフィナーレを迎えますが、
本当にいい終わり方をしてます。
第1話から作者の絵の技術もすごくアップしてて、この日常の物語を区切るに相応しい、素晴らしい最終回となってます。
「へうげもの」で興味を持った人も是非、読んで欲しい。万人に勧められる名作です。
[マンガレビュー] [山田芳裕] [大正野郎] [最終回近くなると平がかっこよく見えてくる不思議]
名前 rabitbike
東京在住