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おーいみんな! 魔王の最終巻だぞ!
潤也さんがえれえことになってる最終巻だぞ!
物語が臨界突破しすぎて、「テンションが明らかにおかしい」とか酷いこと言われた魔王だぞ!(あ、言ったの俺だ)
そんな魔王の最終巻だぞ! オラ興奮してきたぞ!
というわけで表紙は綺麗なアニキ。
安藤! 安藤じゃないか!
そんな感じで最終巻「魔王」感想です。いやーネタバレありで書きたいことが山ほどだぜ。
それにしても表紙の兄貴の美人ぷりはただごとじゃないですね。1巻と比較してみようぜ!
あんま変わってない気がするのは多分俺の目も腐ってきたからか? まあしかし第10巻表紙の兄貴って明らかに潤也フィルターかかってるからなー。
潤也さんはホラ、ちょっと兄貴のことに関しては病気だから…。
(以下、第10巻のネタバレあり。注意!)
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◆ 最終巻の潤也さん ~ あと魔王最終巻の全体のテンションが異常な件について
普通さあ…、10巻も単行本出したら途中で息が切れるとか、ちょっと中休み的にテンション下げるとかあるじゃない。だってテンションあげっぱでいったら普通は壊れるからね! 倒れちゃうからね!
それを、巻を追うごとにテンションあげてって最終巻にして見たこと無いほどのレッドゾーンに突入するとかバカなの? 子供なの?
連載当時はたまに本気で大須賀先生の体調が心配になった俺。だって体かアタマ壊すレベルですよこれは。
特にボウリング場での潤也登場から、<令嬢>壊滅までの流れは凄すぎて、単行本でまとめて読むと吹くレベル。潤也さんがやりすぎておる!
毎週毎週、潤也さんがイイ顔してくれるのでblogのネタになるわなるわで大変でした。
「俺はぜんぜん普通だよ」
ネットで局地的に流行った気がするぞ、このフレーズ。
この時点まで「イカレ野郎」としてさんざん描写されてきた寺原ジュニアに「このイカレ野郎!」て言われるってことはつまり真のイカレ野郎の政権交代と言えます。
寺原ジュニアとはまた違ったタイプの「クールなイカレ野郎」こと犬養も潤也さんにどん引きしてたしねえ。
ただボウリング場において前半は笑えていた潤也さんのイカレ具合も後半になるについれ、「シャレにならないれレベルまで来てるんじゃないか」と心配に成る程でした。
潤也が魔王すぎて、人間味を失っていくところなんか凄く怖かった。
だからこそ、ボウリング場を出た後の、潤也が漏らした弱音にハッとするわけですが。
<令嬢>を壊滅させても安藤の死から逃れることの出来ない潤也、という構図が見えて。
考えてみるとあの時点で潤也の精神はギリギリ均衡を保っているような、物凄く危ういバランスにあったと思う。
心が壊れる1歩手前。本当に魔王になってもおかしくないくらいの精神状態。だからあの安藤の声が聞こえて、「賭けてもいい」の台詞がメチャクチャ感動するんですけど。
安藤はいいところもってくなあ!
さすが第1部の主人公でありヒロインだなあ!(ヒロイン違う…違うのか?)
そして10年後。仙台に移り住んだ潤也が選んだ仕事が、「猛禽類の定点調査」という、ある意味安藤の影である鷹を追う内容なあたりが、潤也さんはマジで兄貴ラブだなというところを窺わせて、そんな潤也と生活する詩織ちゃんは果たして幸せなのだろうかという少しばかりの疑問が浮かんでくるわけです。南無。
まあ、潤也さんにとって兄貴は両親と死別した後の唯一の家族だったけですし、執着するのはしょうがないことかもしれませんね。
例えば結婚した新居に、自分の兄貴の(隠し撮りと思われるモノも含めた)写真を飾ることも。ましてやそれを引き伸ばしてポスターにして飾ることも普通ですよね。
そうだよ。潤也はぜんぜん普通だよ。(あ、便利だなこの台詞)
しかし最後の「クラレッタのスカートを直す」ことの意味を詩織に語る潤也さんにはジンときた。
「だから兄貴は、クラレッタのスカートを直すような人間になろうとしたんだ」
安藤は優しかったんだと思う。だから犬養の登場によって誰かの気持ちが踏みにじられるのが許せなくて「クラレッタのスカートを直し」に行ったのだから。
そして安藤のその決意は、まわりまわって最後の最後に潤也を救った。あのボウリング場の凄惨な現場から離れて壊れそうになっていた潤也を救ったのだ。そして間違った道に進ませずに済んだのだと言えると思う。
最終話における潤也の最後の台詞、「俺たちはきっと大丈夫だ…」も、兄貴が潤也の心の中にいる限り、間違った道を進むことはないだろう、という確信に聞こえる。
最終話。ラストシーン。
最後のページ、鷹の羽が散るのをバックに歩み去る潤也の後姿のシーン。
鷹の姿がなく羽根だけが見えること=安藤(鷹)はもういないけど、確かにその痕跡が残っている(潤也の心の中にいる)こと、を意味しているのかな、なんて思ったり。
そして、その羽根の中を歩いていく潤也の後姿は、安藤の意思を受け継いで、確かな道を歩いていくのではないか。
第1部の主人公である安藤と、第2部の主人公潤也が、(姿は変われど)ともに最後のページを飾ったことは感動的で本当にいいラストだな、と思う。
よかった。本当によかった。
◆ 最終話の加筆シーン
ところで最終話の犬養と潤也が対峙するシーンで加筆がありましたね。
検証してみましょう。
サンデー連載時
単行本
「魔王にするための…」の潤也の顔が文字に被らないように左にずれる。
犬養が潤也を見つめて呟くシーン。そしてそれを見返す潤也の横顔が追加。
「魔王となって…君はどうする?」
「未来を荒廃へ導くつもりか?」
「それとも晴天へと、誘うか…」
という犬養の台詞。
加筆シーンのおかげで、潤也の最後の台詞への流れがよりスムーズになったと思う。
◆ お楽しみ表紙裏。
さて、みんな大好き表紙裏。表紙裏その一は安藤と潤也が並んで歩いてる絵。
これ見覚えあるぞ…て、あ!
サンデーまんが家バックステージのあの絵(vol9)の流れを汲んでこう来るとは…! カバーをとって見た瞬間グッと来てしまったじゃないか!!
バックステージでは下を向いて俯いている安藤が、表紙裏では潤也を笑顔で見上げている、とか。
ただ並んで歩いてただけの潤也が、嬉しそうに安藤の肩に手をかけて笑っている、とか。
芸が細かすぎ&演出うますぎで泣ける。
第2部は潤也が暴走してたからなあ。最後の最後に気持ちが通じ合ったのかな。
で、表紙裏その2。
カオス。
一言言わせていただきたい。
①マスター、蜂に対抗意識燃やしてんじゃねえよ! モザイク使ってんじゃねーか少年マンガだぞ!
②潤也ガラ悪すぎんだろ!釘バットで犬養殴ってんじゃねーよ!
③というか安藤もマンホールのフタで犬養殴ってんじゃねーよ!いい笑顔だし!
④そんで犬養はなんで幸せそうなんだよ! Mかよ!
⑤蝉可愛すぎるだろ! 怯えてんじゃねーか! かわいそうだろ!
⑥岩西心配しすぎだろ! 桃が困ってんだろ! おまえ過保護なんだよ!
⑦タッツミー、またパンツかよ!
⑧鯨、槿に押されてんじゃねえよ! しかも車じゃなくてウンコかよ! 小学生かよ!
⑨スズメバチ色っぽすぎんだろ! というか踏んでください! ギリギリしてください!
⑩寺原・アンダーソン父・猫田市長でだんご三兄弟かよ!
⑪アンダーソン札束で要殴ってんじゃねえよ! かわいそうだろ!
⑫満智子さん女王様すぎんだろ! そんでヒゲメガネさんがハマリすぎてんだろ!
⑬島はまたオパーイかよ! オパーイいいよな! な!島!
⑭ババアのパンツ! ババアのパンツ!
⑮寺原ジュニアがいい仕事しすぎだろ! でもなんで詩織にかぶってんだよ! かわいそうだろ!
一言で終わらなかったじゃないか…。
最後の最後にやってくれるぜめぐたん…。
◆ お疲れさまでした!
それにしても本当に面白い作品でした。
毎週サンデーを読むのが楽しみでした。
ページをめくるたびに何が起こるか予測のつかない展開。どこまで上がっていくんだこのテンション。
この異常なほど疾走感に溢れた作品を、週刊で読めた、というのはある意味とても贅沢なことだったのかもしれません。
16Pでめまぐるしく変わる状況。息もつかせぬ展開。ページを捲るのがためらわれるほどの迫力。そして早くページがめくりたくなってしまう魅力的すぎる演出。
ただ単に、「漫画を読んだ」というだけでは済ましたくないような、素晴らしいマンガ体験をさせてくれました。
伊坂作品が原作にあるとはいえ、ここまでのブッチギリの展開を見せ、原作者をして「嬉しい誤算」「僕はとにかくこの漫画のファンになっていた」と言わしめるほどの作品を作り上げた大須賀先生の力量には驚愕です。
しかも驚くべきことに、これがデビュー作と。なんの冗談ですか。
そして今秋には新たにゲッサンにて続く伊坂×大須賀ワールド。あの蝉のスピンオフというからには見逃せない出来に必ずなるでしょう。ファンとして毎月読みます。追いかけます!
なにはともあれ、大須賀先生、おつかれさまでした。
面白い作品をありがとうございました。
名前 rabitbike
東京在住